平手友梨奈(欅坂46)のいる場所だけが「秋」だった。折しも梅雨のただ中、湿気を帯びた湾岸のロケ地には、蚊がわんわん飛んでいる。しかし、彼女の周囲だけは季節が違う─そんな、毅然とした佇まいに目を奪われた。
普段、服は「直感」で選ぶという。これと決めたスタイルがあるわけではない。マネジャーに「似合いそうなもの」をおまかせで買ってきてもらうこともある。2年前に髪をショートにしてからは、メンズしか買わなくなった。インタビュー時の私服も、ジャケット、パンツ、ローファーのすべてがメンズと徹底している。しかし「メンズしか買わないと決めているわけじゃないんです」と言う。
ジャケット ¥498,000、シャツ ¥93,000、スカート ¥110,000、タイツ ¥20,000〈すべてGUCCI/グッチ ジャパン〉もはやシグネチャーとなったショートヘアに対しても「似合っているとは、あんまり思わない。長いのがいやだというわけでもないし。だから、また伸ばすこともあると思います」。
おそらく「これと決めない」ことが、彼女にとっての唯一の決まりごとなのだろうなと思う。
何気ないものに目を留める
ジャケット ¥348,000、ベスト ¥150,000、シャツ ¥93,000、タイ ¥24,000、パンツ ¥160,000〈すべてGUCCI/グッチ ジャパン〉こんな発言も印象的だった。同じ10代のパフォーマーとして、歌舞伎の八代目市川染五郎とはお互いに刺激を与え合う関係だ(染五郎も平手ファンを公言している)。染五郎の舞台も何度か観劇したことがあるというが、「歌舞伎のどんなところにおもしろさを感じたか?」と尋ねると、「演出とかが、あんまり(型に)とらわれすぎていない感じがすごく好き」という答が返ってきた。伝統芸能としてのイメージが強い歌舞伎をもってして、その「ルールブレイク」な部分に注目するのは、やはり彼女らしい。
表現のインスピレーションを得るソースも、その時々で変わる。映画に行くとか、展覧会に行くとか、アクティビティを固定するのは彼女の流儀ではない。気ままに散歩に出て「何気ないものに目を留めるのが好き」だという。
自分にとって、一番遠い未来は「明日」。
それよりあとのことは考えたことがない先日、雑誌の撮影で瀬戸内海の直島を訪れた。言わずと知れたアートの島だ。特に心に残った作品や風景はあったかと尋ねると、少し考えて「きらいなものがなかったです」と答えた。逆に、彼女の「きらいなもの」とは何なのか?
「集合体、かな?」
一瞬、グループ活動のことを言っているのだろうかとドキリとしたが、アートや絵画で言うところの「集合体」のことだったようだ。「ぶつぶつした感じ」が苦手らしい。
苦手といえば、正直なところ、こうしたインタビューであれこれ質問されるのも苦手なのでは?
「インタビューはそんなに得意じゃないです。自分で自分のことを話すのが得意じゃなくて」
とはいえ、彼女と話していると、そこには必ずしも「言葉」は必要ないと感じる。
プロデューサーの秋元康氏との関係を尋ねると、「おもしろい。話が合う」とにっこり。一体、何を話しているのか?
「天気の話とか……学校の話とか……ふつうの世間話です(笑)」
一方で、大人のクリエイターたちに交じって自分のアイデアを出したり、誰かのアイデアに学んだりという機会にも、積極的に参加しているという。
「『何かをつくりたい』という気持ちは、強くあります」
そのモチベーションはどこから来ているのだろうか?
「うーん……モチベーションがどこから来るのかとか、自分であまり考えたことがないんです」
では、モチベーションがわかないときは、どうやって盛り上げる?
「『盛り上げる』という発想がないんです。盛り上がったら盛り上がる、盛り上がらなかったら盛り上がらない。それだけなんです」
コート ¥128,000、シャツ ¥42,000、パンツ ¥68,000、ハット ¥46,000〈すべてYOHJI YAMAMOTO+ NOIR/ヨウジ ヤマモト プレスルーム〉© HIROSHI KUTOMI
この8月、芸能生活も4年目に突入した。今後、やってみたいことは?と尋ねたところ「特にないです」とつれない返事。そもそも、遠い先のことを考える習慣がないのだという。一番先で、いつのことを考えている?
「……明日。というか、今日の何時間後とか、今日の終わりまでしか考えてないです。『今日はこれから何が起こるのかなあ』とか」
大きなイベントが翌日に控えているときも、今日のことしか考えない?
「緊張はしますけど、大体リハーサルをやっていることが多いので、リハーサルに集中しているかな」
いつだって「今を生きる」彼女は、これから20代になって、われわれに何を見せてくれるのだろうか。本人が「明日」にまでしか興味がなくとも、その先が気になって仕方ないのである。
平手友梨奈(欅坂46)
2001年、愛知県出身。秋元康総合プロデュースの女性アイドルグループ「欅坂46」のメンバー。デビューシングル「サイレントマジョリティー」から最新シングル「黒い羊」まで、グループの圧倒的センターとして存在。Photos 久富裕史 Hiroshi Kutomi@NO.2
Styling 笠原百合 Yuri Kasahara
Hair&Make-up MAO@MAXSTAR
Words 藤田美菜子 Minako Fujita
ツイッターの反応がこちら
てち、こういうのやっぱ似合うわ
このコート良いな❤️https://t.co/qwuRGOOMVS— あきら (@mofuakira) October 6, 2019
その先考えてない平手は、アイドルの道を選んだという時点で誰より先のこと考えているだと思います。https://t.co/QJBvbltdCG
— 豪太郎 (@clickb10024) October 6, 2019
てちが着てる服の値段で読むの忘れる https://t.co/OC47lXXIUd
— 裏はんちゃん (@HYoshi517) October 6, 2019
てち推しのみなさんへ
https://t.co/TDKbnyWm8V— yoshi_欅坂46 (@KYZ46_0710) October 6, 2019
すべて私が着ている服とは1桁以上違う値段だった。まあ、こんなに格好良く着こなせないけれどね。#欅坂46 #平手友梨奈
— とみぃ(=^_^=) (@saegusa0923) October 6, 2019
服高いなぁ!!
内容には驚かないけど,別の意味で!!私ヨカッタ.感性乏しくて‥こんなに服にお金かけようなんて1ミリもオモエナイ‥https://t.co/K5m1CfGuBJ
— ふみひろみ (@Q_Qool) October 6, 2019